2026.06.04

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グリースガンで何回押せばいい?ベアリングの給脂量を現場で管理する実践テクニック

グリースガンで何回押せばいい

グリースガンでの給脂は「古いグリースが出るまで」「多めに入れておけば安心」という感覚で行われがちですが、実は過剰給脂は軸受故障の大きな原因です。適正な補給量は計算で求められ、「グリースガンを何回押すか」に換算して現場で管理できます。本記事では、その実践テクニックを解説します。

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この記事でわかること
  1. なぜ現場のグリースアップは「入れすぎ」になりやすいのか
  2. 過剰給脂が引き起こす見落とされがちなトラブル
  3. 適正な補給量の計算方法と「押し回数」への換算テクニック
  4. 給脂量を安定させる根本的な解決策
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現場のグリースアップは「入れすぎ」が起きている

手動でのグリースアップは、適正量より多く入れてしまう「過剰給脂」になりやすい傾向があります。多くの現場で、給脂量は作業者の感覚に委ねられているのが実情です。

よくあるのが「古いグリースが押し出されて出てくるまで入れる」「少ないと不安だから多めに入れておく」という運用です。一見すると丁寧な作業に見えますが、これは必要量を大きく超えた量を注入していることが少なくありません。

「多い方が安心」は誤解

グリースは多ければ多いほど良いものではありません。むしろ適正量を超えた給脂は、軸受にとって有害です。給脂は「不足を防ぐ」と同時に「入れすぎを防ぐ」ことが重要なのです。

なぜ過剰給脂が起きるのか。最大の理由は、適正量が数値でわからないまま、感覚で作業していることにあります。「何グラム入れるべきか」「グリースガンで何回押せばその量になるのか」が把握できていないため、安全側に振って多めに入れてしまうのです。

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過剰給脂が引き起こすトラブル

過剰給脂は、発熱・動力ロス・シール破損・汚染という4つのトラブルを引き起こします。「不足」より「入れすぎ」の害のほうが見落とされがちです。

過剰給脂したベアリング

トラブル 01
発熱・温度上昇
グリースが詰まりすぎると、転動体がグリースをかき混ぜる抵抗で熱が発生。温度上昇がグリースの劣化を早める。
トラブル 02
撹拌抵抗・動力ロス
余分なグリースをかき混ぜる分だけ回転抵抗が増え、無駄な電力を消費する。省エネの観点でも不利。
トラブル 03
シール破損・漏れ
内圧が高まり、シールを押し破ってグリースが漏れ出す。シールが壊れると異物侵入を招く。
トラブル 04
周囲の汚染
漏れたグリースが製品・床・設備を汚染。食品ラインなどでは重大な品質問題につながる。
過剰給脂は故障の最大要因のひとつ

軸受の潤滑トラブルにおいて、グリースの入れすぎはグリース起因の軸受故障の主要な原因とされています。「古いグリースが出るまで入れる」運用は、知らないうちに軸受の寿命を縮めている可能性があります。

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適正な補給グリース量はこう決まる

軸受の補給グリース量は、感覚ではなく計算式で求めることができます。広く使われるのが、外径と幅から算出する次の式です。

給脂量の計算方法

この式は定期補給時の目安量です。なお、軸受を新たに組み込む際の初期充填量は、ハウジング内部の空間容積に対して、回転速度が許容回転数の50%以下なら1/2〜2/3、50%以上なら1/3〜1/2程度が一般的な目安とされています。補給と初期充填では考え方が異なる点に注意してください。

あくまで一般的な目安

計算式で求めた値は標準的な目安です。回転速度・温度・荷重・密封構造などの使用条件によって適正量は変わります。正確な値はメーカーの技術資料や軸受の仕様を必ず確認してください。

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グリースガンで「何回押せばいいか」を管理する

適正量がグラムでわかったら、それを「グリースガンの押し回数」に換算することで、現場で誰でも再現できる管理が可能になります。鍵となるのが、自分のグリースガンの「1ストロークあたりの吐出量」を知ることです。

グリースガンの吐出量は機種によって異なります。例えば、あるハンドグリースガンは1ストローク約0.9gと仕様に明記されています。まずは自分が使うグリースガンの吐出量を実測することから始めます。

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グリースガンの1押し量を実測する
はかりの上に紙やトレイを置き、グリースガンを10回押して出たグリースの重さを量ります。その重さ÷10が、1ストロークあたりの吐出量(g)です。10回ぶんで測ると誤差が小さくなります。
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必要な補給量を計算する
前章の計算式(G = 0.005 × D × B)で、対象の軸受に必要なグリース量(g)を求めます。軸受の外径・幅は型番から仕様表で確認できます。
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押し回数に換算する
必要な補給量(g) ÷ 1ストロークの吐出量(g) = 押し回数です。例えば必要量12.5g、1押し0.9gなら、12.5 ÷ 0.9 ≒ 14回となります。
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設備ごとに「押し回数」を表示・共有する
算出した押し回数を給脂箇所のラベルや管理表に記載しておけば、誰が作業しても同じ量を給脂できます。「古いグリースが出るまで」という曖昧な運用から卒業できます。
押し回数管理のメリット

「何回押す」という具体的な指示にすることで、作業者によるばらつきがなくなり、過剰給脂も防げます。新人でもベテランと同じ品質で給脂でき、属人化の解消にもつながります。

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それでも手動管理には限界がある

押し回数による管理は有効ですが、手動である以上、避けられない限界も残ります。より確実な潤滑管理を目指すなら、その先の解決策も知っておく価値があります。

課題 01
給脂間隔の管理が難しい
量を管理できても「いつ給脂するか」は人の記憶や予定に依存。給脂忘れや過剰な頻度が起きやすい。
課題 02
作業工数がかかる
給脂箇所が多い設備では、一つひとつ手作業で回るだけで大きな工数になる。
課題 03
高所・危険箇所のリスク
稼働中の設備や高所の給脂箇所では、作業そのものに安全リスクが伴う。
課題 04
少量を連続供給できない
手動はどうしても「まとめて補給」になり、理想的な少量ずつの連続供給が難しい。

これらの課題を根本から解決するのが、自動給油器です。自動給油器は、設定した量を設定した間隔で自動的に供給するため、適正量を適正なタイミングで途切れなく給脂できます。

⚖️
適正量を自動供給
設定した量を少量ずつ連続供給。過剰給脂も給脂不足も防げる。
⏱️
給脂間隔も自動管理
日・週・月単位で吐出期間を設定でき、給脂忘れが起きない。
🛡️
安全性の向上
高所・危険箇所への手作業が不要になり、労働災害のリスクを低減。
📉
工数とコストの削減
手作業の給脂工数を削減。過剰給脂によるグリースの無駄もなくなる。
適正潤滑のゴールは「自動化」

押し回数による手動管理は、適正潤滑への重要な第一歩です。そのうえで、給脂箇所が多い・給脂忘れが起きやすい・安全リスクがあるといった設備では、パルサールブのような自動給油器を導入することで、潤滑量を恒常的に適正化できます。

パルサールブ設置画像

FAQ
Q1「古いグリースが出てくるまで入れる」のは間違いですか?
必ずしも正しい方法とは言えません。古いグリースが出てくるまで入れると、適正量を大きく超えてしまうことが多く、過剰給脂による発熱やシール破損の原因になります。本来は、軸受の外径・幅から計算した適正量を、押し回数に換算して給脂するのが望ましい方法です。ただし、古いグリースを入れ替える目的がある場合など、状況によって運用は異なります。
Q2グリースガンの1回の吐出量はどのくらいですか?
機種によって異なります。例えば、あるハンドグリースガンは1ストローク約0.9gと仕様に記載されています。エア式や高吐出量タイプではさらに多くなります。正確な管理のためには、自分が使うグリースガンで実測することをおすすめします。10回押して出た重さを量り、10で割れば1ストロークあたりの吐出量がわかります。
Q3給脂はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
給脂間隔は、軸受の回転速度・温度・荷重・グリースの種類によって変わるため、一律の目安はありません。一般にはグリース寿命の計算式から推定しますが、運転条件の影響が大きいため、メーカーの技術資料を参照するのが確実です。給脂間隔の管理が難しい場合は、自動給油器の導入で給脂タイミングを自動化する方法もあります。
Q4自動給油器を使うと本当にコスト削減になりますか?
給脂作業の工数削減、過剰給脂によるグリースの無駄の削減、過剰給脂・給脂不足に起因する軸受故障の防止といった複数の面でコストメリットが期待できます。特に給脂箇所が多い設備では、手作業の人件費だけでも大きな差になります。導入効果は設備の規模や現状の管理状況によって異なるため、まずは現状の給脂工数とトラブルの状況を整理することをおすすめします。
※本記事の内容は一般的な技術情報に基づいて作成しています。具体的な給脂量・給脂間隔・計算式の適用範囲は、必ず使用する軸受・グリース・機器メーカーの技術資料を参照してください。