2026.05.18

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圧縮空気の品質ってホントに重要?圧縮空気の品質に関わるISO8573をわかりやすく解説

圧縮空気の品質

製造現場で動力源として欠かせない圧縮空気。しかし、その品質を正しく管理できているでしょうか。空気中に含まれる異物が製品不良や設備トラブルに直結することは少なくありません。本記事では圧縮空気の品質基準である国際規格 ISO8573-1 を中心に、現場の技術者が知っておくべき基礎知識を解説します。

💡

この記事でわかること

  1. 圧縮空気の品質とは何か
  2. 圧縮空気を汚染する3つの要素
  3. ISO8573の品質等級の考え方
  4. 現場で品質管理が必要な理由
  5. 圧縮空気の品質を維持する方法

圧縮空気は工場のあらゆる設備で使われています。エアシリンダ・エアブロー・塗装・包装機など、多くの装置が圧縮空気を動力として利用しています。しかし、空気をそのまま圧縮するだけでは「汚れた空気」です。

空気中には以下のような物質が含まれており、圧縮されることで濃度が高まります。

汚染物質 内容 主なリスク
固体粒子 ホコリ・錆・スケールなど バルブ固着・シール摩耗
水分 水蒸気・水滴 配管腐食・凍結・製品汚染
油分 コンプレッサ油・オイルミスト 製品不良・塗装ムラ

圧縮空気の汚染物質

これらが装置に入るとバルブの故障や製品汚染、配管腐食などの問題を引き起こします。そのため工場では、圧縮空気の清浄度(品質)を管理する必要があります。

ISO8573とは、圧縮空気の清浄度を定義した国際規格です。圧縮空気中に含まれる汚染物質の量を数値化し、品質を等級(クラス)で表します。

この規格では、汚染物質を「固体粒子・水分・油分」の3つに分類し、それぞれの量によって清浄度クラスを決定します。

汚染物質 内容
固体粒子 ホコリ、錆、スケールなど
水分 水蒸気や水滴
油分 オイルミストや油蒸気

ISO8573では、圧縮空気の品質を3つの数字の組み合わせで表記します。

表記例:ISO8573-1 : 2010 [2 : 4 : 1]

この数字はそれぞれ「粒子クラス:水分クラス:油分クラス」を意味します。
項目 クラス 意味
粒子 2 粒子量の等級
水分 4 水分量の等級
油分 1 油分量の等級

ポイントは数字が小さいほど高品質という点です。
例えば、以下のような指標となります。

クラス 清浄度 主な用途
Class 0 ユーザー規定の最高品質 食品・医薬品・半導体
Class 1 非常にクリーン 精密機器・電子部品
Class 4 一般工業用途 エアシリンダ・一般ツール
Class 6 比較的粗い空気 エアブロー・粗洗浄

圧縮空気の品質が悪いと、設備・製品・配管の3つの側面でトラブルが発生します。

① バルブ・シリンダ故障
粒子や水分が侵入することで内部部品が損傷します。

主な症状:シール摩耗 / バルブ固着 / 作動不良
② 製品品質トラブル
食品・電子部品・医薬品などでは油分混入が製品不良に直結します。

主な症状:塗装ムラ / 製品汚染 / 印字不良
③ 配管腐食
水分量が多い圧縮空気は配管を内側から侵食します。

主な症状:配管腐食 / スケール発生 / フィルタ詰まり

圧縮空気の品質は、主に以下の3つの設備で管理します。用途や求める清浄度クラスに応じて、適切な設備を組み合わせることが重要です。

① エアドライヤ

空気中の水分を除去する装置です。方式によって達成できる乾燥度合いが異なります。

種類 特徴 到達露点
冷凍式ドライヤ 一般工場で最も多く使用される。コスト・メンテナンス性に優れる +3℃程度
吸着式ドライヤ 超乾燥エアが必要な用途向け。精密機器・医薬品ラインに使用 −40〜−70℃

エアドライヤ

② エアフィルタ

粒子や油ミストを除去する装置です。用途に応じて複数段を組み合わせて使用します。

種類 主な役割
プレフィルタ 大きな粒子・水分を一次除去する
ミストセパレータ 油ミスト・細かい水分を除去する
活性炭フィルタ 油蒸気・臭気を吸着除去する。食品・塗装用途に使用

③ オイルフリーコンプレッサ

食品・医薬品・半導体などの用途ではオイルフリーコンプレッサが使用されることがあります。コンプレッサに潤滑剤を使用しないため、油分混入リスクを根本から低減できます。

ただし、オイルフリーコンプレッサを使用していても ISO8573による品質管理は不要ではありません。吸気空気の汚染・配管の汚れ・フィルタ劣化などで油分や粒子が混入する可能性があります。

圧縮空気の品質とは、空気中の汚染物質の量で決まる清浄度のことです。品質が不適切だと、設備トラブル・製品不良・配管腐食など多岐にわたる問題に直結します。

圧縮空気は「工場の第4のユーティリティ」とも呼ばれる重要なエネルギー源です。適切な品質管理が、設備の安定稼働と製品品質の維持につながります。

重要ポイント 内容
汚染物質は3種類 固体粒子・水分・油分が圧縮空気の品質を決める
ISO8573で等級管理 数字が小さいほど高品質。用途に応じたクラスを設定する
測定は使用ポイントで コンプレッサ出口だけでなく、実際の使用箇所での測定が重要
設備の組み合わせが鍵 ドライヤ・フィルタを適切に組み合わせて必要な品質を達成する

FAQ

Q1ISO8573のクラス0とは何ですか?
クラス0はユーザーが独自に規定する最も厳しい清浄度です。規格の標準クラス(1〜6)よりも高い品質が必要な場合に適用されます。食品・医薬品・半導体などの用途で使用されることが多く、具体的な基準値はユーザーとサプライヤーの合意によって決定します。
Q2ISO8573の品質はどこで測定しますか?
一般的にはコンプレッサ出口・ドライヤ出口・使用ポイントの3か所で測定します。最も重要なのは使用ポイントでの確認です。コンプレッサ出口でクリーンな空気が得られていても、配管の腐食やフィルタの劣化によって使用ポイントでは品質が低下している場合があります。
Q3オイルフリーコンプレッサならISO8573の管理は不要ですか?
不要ではありません。オイルフリーコンプレッサを使用していても、吸気空気の汚染・配管の錆や汚れ・フィルタの劣化によって油分や粒子が混入する可能性があります。油分リスクは低減できますが、粒子・水分の管理は引き続き必要です。
Q4圧縮空気の品質トラブルの原因が特定できない場合はどうすればよいですか?
専門的な診断が必要なケースも多くあります。使用ポイントでの品質測定や、設備構成の見直しを含めた総合的な診断が有効です。原因が特定できない場合はお問い合わせよりご相談ください。

※本記事の内容は一般的な技術情報に基づいて作成しています。具体的な数値・仕様は必ず使用する機器のメーカー技術資料・取扱説明書を参照してください。