2026.07.13
- 基礎知識
- 潤滑
5分でマスター!グリースのちょう度の基本定義から選定基準までの完全ガイド

ちょう度とは、グリースの硬さを数値で表した指標で、JIS規格に基づく試験によって測定され、NLGI番号として表示されます。この記事では、ちょう度の定義から測定の仕組み、機械への影響、用途に合わせた選定の考え方までを整理して解説します。
この記事でわかること
- ちょう度とNLGI番号が表す意味
- ちょう度が機械の動きや寿命に与える影響
- 用途に合わせたちょう度の選び方の考え方
ちょう度とは何か
グリースを指で触ると種類によって、かたいもの、やわらかいものがあることに気づきます。この硬さの度合いを感覚ではなく数値として表したものが"ちょう度"です。
ちょう度は、グリースを均一に練った(混和した)状態にしたうえで、規定の条件で測定した値をもとに決められます。数値が小さいほどグリースはかたく、数値が大きいほどやわらかいという関係になります。この数値を扱いやすいように区分し直したものが、次に紹介するNLGI番号です。

ちょう度はどうやって測るのか
ちょう度は、混和針入度試験と呼ばれる方法で測定されます。これは一定の重さの円すい(コーン)をグリースの表面に静かに落とし、5秒間で沈み込んだ深さを測るという試験です。沈み込みが深いほどやわらかいグリース、浅いほどかたいグリースということになります。
測定された深さは0.1mm単位の数値として表され、この数値がちょう度そのものです。この生の数値は種類によって幅が広く扱いにくいため、実務では次に紹介するNLGI番号に置き換えて扱われることがほとんどです。

グリースの表面を平らにならす
円すい(コーン)を静かに落とす
5秒後の沈み込む深さを測る
円すいをグリースに落とし、沈み込む深さで硬さを測定する試験方法
ちょう度の数値を区分し直した、グリースの硬さを表す等級
NLGI番号とちょう度の関係
NLGI(米国潤滑グリース協会)は、ちょう度の数値をもとに、グリースの硬さを000番から6番までの9段階に区分しています。番号が小さいほどやわらかく、番号が大きいほどかたいグリースです。工業用途では2号がよく使われる傾向にありますが、機械の構造や使用環境によって最適な番号は異なります。
NLGI番号ごとの硬さイメージ(やわらかい ← → かたい)
約400〜430
約355〜385
約310〜340
約265〜295
約220〜250
※ちょう度は、円すいがグリースに沈み込んだ深さを0.1mm単位で表した数値です。数値が大きいほど、やわらかいグリースであることを示します。
イメージとしては、00号は、とろみのあるドレッシングくらいのやわらかさ、2号は、なめらかなバターくらいの標準的な硬さ、3号は、冷蔵庫から出したてのバターくらいのかたさに近いと考えると想像しやすいかもしれません。ただし実際の質感は製品によって差があるため、あくまで大まかなイメージとして捉えてください。
この表はあくまで一般的な目安であり、正確な範囲は規格や測定条件によって細かく定められています。実際の製品選定にあたっては、メーカーが公表する製品仕様を確認することが基本です。
ちょう度が機械に与える影響
ちょう度は単なる硬さの目安にとどまらず、機械の動きそのものに関わる要素です。やわらかすぎるグリースは回転部分の遠心力や振動によって外へ流れ出しやすく、潤滑箇所からグリースが失われる原因になります。一方、かたすぎるグリースは部品の隙間にうまく行き渡らず、潤滑不足による摩耗や発熱を招くことがあります。
ちょう度が合っていないグリースを使い続けると潤滑不足や異音・発熱といったトラブルにつながることがあります。設計時に指定されたちょう度から大きく外れた製品への変更は、慎重に検討する必要があります。
使用中にちょう度が変化する原因
グリースのちょう度は購入時のまま永久に一定というわけではありません。使用環境や時間の経過によってかたさが変化することがあります。代表的な原因としては、高温にさらされ続けることによる軟化、機械的なせん断(かくはん・圧力)を受け続けることによる構造の変化、異物や水分の混入などが挙げられます。
特に回転する軸受のように常に力が加わり続ける部分では、グリースが徐々にやわらかくなっていくことがあります。定期的な状態確認や交換サイクルの見直しは、ちょう度の変化を踏まえたうえで検討することが望ましいとされています。

用途に合わせたちょう度の選び方
ちょう度の選定は基本的には機械メーカーが指定する仕様に従うことが原則です。そのうえで選定の考え方を理解しておくと、トラブル時の判断や代替品検討の際に役立ちます。一般的には回転速度が速い部分や振動が大きい部分にはやや硬めのグリースが給脂間隔を伸ばしたい場合や低温環境ではやややわらかめのグリースが選ばれる傾向があります。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、実際の適合は機械の構造や運転条件によって異なります。仕様が不明な場合や既存グリースからの変更を検討する場合は、メーカーや専門業者に相談したうえで判断することをおすすめします。
よくある質問
ちょう度とNLGI番号は同じものですか?
厳密には異なります。ちょう度は測定によって得られる生の数値であり、NLGI番号はその数値を扱いやすく区分し直した等級です。実務ではNLGI番号で語られることが多いですが、根拠となっているのはちょう度の測定値です。
ちょう度が違うグリースを混ぜて使ってもいいですか?
一般的には推奨されません。ちょう度や増ちょう剤の種類が異なるグリースを混ぜると想定していた性能が発揮されなくなる場合があります。判断がつかない場合は、メーカーに確認してから使用することをおすすめします。
ちょう度が指定されていない機械の場合、何号を選べばいいですか?
機械の取扱説明書や銘板に指定がない場合は自己判断で決めるのではなく、メーカーや専門業者に相談することが基本です。運転条件によって適したちょう度は変わるため、条件による判断が必要になります。
グリースがやわらかくなってきた場合、劣化のサインですか?
やわらかくなる原因は高温や機械的なせん断など複数考えられ、一般的には劣化のサインの一つとされています。ただし断定はできないため、気になる変化があれば専門業者に状態を確認してもらうことをおすすめします。