2026.08.27
- 原因と対策
- 油圧機器
油圧ポンプが回るのに圧力が上がらない7つの原因と点検手順

油圧ポンプは回転していても油の流れやバルブ、配管の状態によっては圧力が上がらないことがあります。原因はポンプ本体・回路・作動油の3系統に分かれ、切り分けの順序を誤ると点検に時間がかかります。本記事では現場で確認しやすい7つの原因とそれぞれの具体的な対策・点検手順を整理します。
この記事でわかること
- ポンプが回転しても圧力が出ない仕組み上の理由
- 現場で切り分けるべき7つの原因と具体的な対策
- 点検を進める際の優先順位
なぜ回っているのに圧力が出ないのか
油圧ポンプは油を送り出す装置であり、圧力そのものを生み出しているのは油の流れをせき止める負荷、つまりバルブや作動抵抗です。回転は流れの発生を意味しますが、その流れが逃げ道なくせき止められて初めて圧力が発生します。そのため、ポンプが正常に回転していても油が逃げる経路が存在すれば圧力計の針は上がりません。

ポンプ本体に起因する原因と対策
圧力が上がらないとき、まず疑うべきはポンプ自体が十分な吐出量を確保できているかどうかです。以下の3つは現場で比較的よく見られる原因です。
(内部リーク)
摺動部の摩耗により、高圧側から低圧側へ油が逃げてしまう状態です。
対策:無負荷時の吐出量を測定し、規定値との差を確認します。摩耗が疑われる場合は分解点検、またはメーカー・専門業者への相談が基本です。
(キャビテーション)
フィルターの目詰まりや作動油の粘度過多により、気泡を巻き込んだ状態で油を送り出してしまいます。
対策:吸込フィルター・ストレーナーを清掃または交換し、油温・粘度が使用環境に適しているかを確認します。甲高い異音の有無も判断材料になります。
不具合
モーターとの接続部(カップリング)の緩みや破損、回転方向の誤りにより吐出効率が低下することがあります。
対策:カップリングの緩み・摩耗を目視・触診で確認し、結線を確認したうえで回転方向を再点検します。

油圧回路側に起因する原因と対策
ポンプ自体に問題がなくても、回路上に油が逃げる経路があれば圧力は上がりません。特にバルブと配管まわりは見落とされやすいポイントです。
| 点検箇所 | 確認方法 | 見つかった場合の対応 |
|---|---|---|
| リリーフバルブ | 設定圧をメーカー仕様と照合する | 異物混入による固着が疑われる場合は分解洗浄、フィルターの見直しを行う |
| 配管・継手・シール | 接続部を清掃したうえで加圧し、にじみや油だまりの有無を確認する | 締め付けトルク不足やOリングの劣化があれば交換する |
作動油・アクチュエータ側の原因と対策
ポンプにも回路にも異常がない場合は、作動油そのものの状態や負荷側の機器を確認します。
油量が規定より少ない、あるいは劣化して粘度が変化していると、ポンプ本来の性能が発揮されないことがあります。
対策:タンクの油量を規定レベルまで補充し、色・ニオイ・粘度に異常がないかを確認します。劣化が疑われる場合は分析や交換を検討します。
シリンダーやモーターなど負荷側の機器自体に摩耗・損傷があると、圧力が保持できず結果的に上がらないように見えることがあります。
対策:シリンダーは無負荷での保持圧の自然降下をモーターは負荷に対する滑りの有無を確認します。

点検の進め方
闇雲に部品を疑うのではなく、切り分けの順序を決めることが早期解決につながります。一般的には、油量の確認から始め、外部リーク、バルブ、ポンプ本体の順に進めると、無駄な分解を避けやすいとされています。
油量・油の状態を確認
タンクの油量、色、ニオイをチェック
配管・継手の外部リークを確認
接続部の油にじみ・油だまりをチェック
リリーフバルブの作動を確認
設定圧の照合、固着の有無をチェック
ポンプ単体の吐出量を測定
無負荷時の流量を規定値と比較
判断が難しい場合は、無理に自己判断せず専門業者への相談も選択肢となります。
よくある質問
圧力計自体が壊れている可能性はありますか?
あります。圧力計の故障や配管内の空気混入により、実際の圧力と表示にズレが生じることがあるため、別の圧力計での確認も有効とされています。
リリーフバルブの設定圧はどのくらいが適正ですか?
使用する機械やメーカーの仕様によって異なるため、一概には言えません。設計仕様書やメーカー推奨値に従うことが基本です。
内部リークかどうかを現場で簡易的に判断する方法はありますか?
ポンプ単体での吐出量測定(無負荷時の流量確認)を行うことで、ある程度の傾向を掴める場合がありますが、正確な判断には専門的な測定機器や業者による診断が推奨されます。
作動油はどのくらいの頻度で交換すべきですか?
使用環境や負荷条件によって異なるため一概には言えません。メーカーが推奨する交換サイクルに従うことが基本です。