2026.09.25
- 基礎知識
- ベアリング
ラジアル荷重とアキシアル荷重の違いとは?ベアリングにかかる力を図解

ラジアル荷重は軸に対して垂直方向にかかる力、アキシアル荷重は軸と同じ方向にかかる力です。ベアリングは種類によって受けられる力の向きや大きさが異なるため、機械にどちらの力がどれだけかかるかを把握することがベアリング選定と長寿命化の出発点になります。
この記事でわかること
- ラジアル荷重とアキシアル荷重の定義と向きの違い
- 現場の機械で2つの荷重が生まれる理由
- ベアリングの種類ごとに受けられる荷重の違い
ラジアル荷重とアキシアル荷重とは?
ベアリング(軸受)とは回転する軸を支えて、なめらかに回すための部品です。ベアリングには運転中さまざまな力がかかりますが、その力は向きによって大きく2つに分けられます。軸に対して垂直方向、つまり軸を横から押したり上から押さえつけたりする力がラジアル荷重です。一方、軸と同じ方向、つまり軸を押し込んだり引き抜いたりする向きの力がアキシアル荷重です。
アキシアル荷重はスラスト荷重と呼ばれることもありますが、意味は同じです。また、主にラジアル荷重を受けるベアリングをラジアル軸受、主にアキシアル荷重を受けるベアリングをスラスト軸受と呼び分けています。
身近な例で見る2つの荷重
ショッピングカートの車輪を思い浮かべると、2つの荷重の違いがイメージしやすくなります。カートに荷物を載せると、その重さは車輪の軸を上から押さえつけます。これが軸に対して垂直にかかるラジアル荷重です。一方、車輪の付け根は向きを変えるためにクルクル回転しますが、この回転軸には荷物の重さが軸と同じ方向にかかります。これがアキシアル荷重です。同じ重さでも軸の向きによって荷重の呼び方が変わるのがポイントです。
工場の機械も同じで、横向きの軸を持つモーターやポンプでは部品の重さやベルトの張力が主にラジアル荷重として働きます。縦向きの軸を持つ機械では、回転体の重さがアキシアル荷重として働きます。

現場の機械では荷重がどこから生まれるのか
ベアリングが受ける荷重には支えている部品の重さ、歯車やベルトで動力を伝える力、運転中の機械に生じる力などがあります。例えば、はすば歯車(歯が斜めに切られた歯車)は静かに回る一方、歯が斜めであるために軸方向の力が発生し、ベアリングにアキシアル荷重として加わります。また、軸は運転中の温度上昇で伸び縮みするため、両端のベアリングで軸を完全に固定してしまうと無理なアキシアル荷重がかかる原因になります。
そのため一般的には、1本の軸を2個のベアリングで支える場合、一方を軸の位置を決める固定側、もう一方を軸の伸びを逃がす自由側として使い分けます。なお、実際にかかる荷重は振動や衝撃によって計算値より大きくなることが多いとされ、設計では余裕を見込んで検討されます。
ベアリングの種類で受けられる荷重は違う
ベアリングは種類によって、受けられる荷重の向きが決まっています。荷重の向きに合わない種類を選ぶと、本来の性能を発揮できません。代表的なベアリングと受けられる荷重の向きを整理すると次のようになります。
| 種類 | ラジアル荷重 | アキシアル荷重 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 深溝玉軸受 | 〇 | 〇両方向 | 最も汎用的。両方向の荷重をバランスよく受ける |
| アンギュラ玉軸受 | 〇 | ◎一方向 | 一方向なら大きなアキシアル荷重に対応。両方向には2個を組み合わせる |
| 円すいころ軸受 | ◎ | 〇一方向 | 大きな合成荷重向き。両方向には2個以上を組み合わせる |
| 円筒ころ軸受 | ◎ | 形式による | 標準形はアキシアル荷重を受けない。つば付きの形式は一部受けられる |
| スラスト玉軸受 | × | 〇 | アキシアル荷重専用。ラジアル荷重は受けられない |
※◎は比較的得意、〇は対応可、×は不可を示す概略です。実際の負荷能力は形式・寸法・使用条件によって異なるため、メーカーのカタログで確認してください。
この違いを生むのが接触角です。接触角とは、転動体(玉やころ)が内輪・外輪と接して力を伝える方向の傾きのことで、一般に角度が大きいほどアキシアル荷重を受けやすくなります。

使用中のベアリングが荷重条件に合っているか不安な方へ
交換を繰り返している箇所や荷重の向きが判断しにくい設備について、現場の状況をうかがいながら一緒に整理します。
実際の機械では合成荷重で考える
実際の機械では、ラジアル荷重とアキシアル荷重の両方が同時にかかる合成荷重の状態がほとんどです。そこでベアリングの寿命計算では、2つの荷重を同じ寿命になる1つの仮想的な荷重に置き換えた動等価荷重という値を使います。
動等価荷重の考え方(一般式)
P = X × Fr + Y × Fa
P:動等価荷重 Fr:ラジアル荷重 Fa:アキシアル荷重
X・Y:ベアリングの種類や荷重の比率に応じてカタログで定められた係数
さらに、軸の傾きや偏心によってモーメント荷重と呼ばれる、ベアリングを傾けようとする力が生じることもあります。この荷重がかかるとベアリングの寿命は大きく低下するとされるため、取付け時の芯出しも重要です。
荷重の見誤りが招くトラブル
アキシアル荷重を受けられない形式のベアリングに軸方向の力がかかり続けると、想定外の負担によって発熱や異音、早期の損傷が起こりやすくなります。ベルトの張りすぎによる過大なラジアル荷重や熱膨張の逃げ場がない取付けも一般的にトラブルの原因として挙げられます。
ベアリングの不具合は、ベアリングそのものの品質ではなく、使い方と荷重条件の組み合わせに原因があるケースも少なくありません。交換を繰り返している箇所がある場合はどの向きにどれくらいの力がかかっているかを見直すことが根本対策の第一歩になります。

よくある質問
アキシアル荷重とスラスト荷重は違うものですか?
同じ意味です。どちらも軸と同じ方向にかかる荷重を指し、メーカーや業界によって呼び方が異なります。
深溝玉軸受でアキシアル荷重を受けてもよいですか?
深溝玉軸受はラジアル荷重に加えて、両方向のアキシアル荷重もある程度受けられます。ただし許容できる大きさには限度があるため、アキシアル荷重が大きい場合はアンギュラ玉軸受などが検討されます。具体的な可否はメーカーの仕様に従ってください。
円筒ころ軸受はアキシアル荷重を受けられないのですか?
標準的な形式は受けられませんが、内輪・外輪につば(ころを止める段差)を持つ形式は、一方向または両方向のアキシアル荷重をある程度受けられます。形式ごとに対応が異なるため、型番で確認することが大切です。
機械にかかる荷重の向きがわからないときはどうすればよいですか?
まずは軸の向き、歯車やベルトなど動力の伝え方、軸の固定方法を確認するとおおよその荷重の向きを整理できます。判断が難しい場合は、ベアリングメーカーや専門業者に相談することをおすすめします。