2026.09.26
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油圧回路図の見方入門|ポンプ・タンク・シリンダー・バルブの記号を解説

油圧回路図とはポンプやバルブ、シリンダーなどの機器を決められた記号で表し、油の流れる道筋を示した図面です。記号はJIS(日本産業規格)で定められています。形の意味と読む順番を押さえれば機械の動きが理解でき、トラブル箇所の見当もつけやすくなります。
この記事でわかること
- 油圧回路図が現場で役立つ理由
- ポンプ・タンク・シリンダー・バルブの基本記号の読み取り方
- 回路図を読み進める順番と注意点
油圧回路図とは何か
油圧回路図は機器の外観や内部構造ではなく、その機器が果たす機能と油の通り道を記号で表した図面です。記号はJIS B 0125-1で規定されています。この規格は国際規格のISO 1219-1をもとに作られているため、海外製の機械の図面でも基本的な読み方は共通です。
油圧システムは一般的に次の5つの要素で構成されると説明されます。回路図はこれらの要素が配管でどうつながっているかを1枚にまとめたものです。
油圧システムの5要素と油の流れ
- 油タンク作動油(油圧機器を動かすための専用の油)をためる
- 油圧ポンプモーターの回転で油を送り出し流れをつくる
- 油圧制御弁油の圧力・流量・流れる方向を調整する
- アクチュエータ油の力を動きに変える機器(シリンダーや油圧モーター)

なぜ回路図が読めると現場で役立つのか
油圧機器は配管やブロックの内部を油が流れるため、外から見ただけでは流れがつかめません。たとえばシリンダーが動かないという症状でも、回路図があればポンプから出た油がどのバルブを通ってシリンダーに届くのかを順に追えます。その経路上で点検すべき機器を洗い出せるようになります。
部品交換や設備改造を相談するときも、回路図上の位置や記号で機器を指定できれば話がかみ合いやすくなります。すべての記号を暗記する必要はありません。まずは基本の形と読む順番を理解しておくことが大切です。
まず押さえたい線と形の基本ルール
回路図の実線は主な油の通り道である主管路を表します。破線は弁を操作するための油が通るパイロット管路や、漏れた油をタンクへ戻すドレン管路を表すのが一般的です。形については円がポンプやモーターのような回転機器を、四角が弁などの機器を表します。
もう一つ覚えておきたいのが三角の塗りつぶしです。塗りつぶした三角は油圧を、白抜きの三角は空気圧を示します。油圧と空気圧の記号はよく似ていますが、三角を見れば区別できます。
| 記号の要素 | 形 | 主な意味 |
|---|---|---|
| 実線 |
|
主管路(主な油の通り道) |
| 破線 |
|
パイロット管路・ドレン管路 |
| 円 |
|
ポンプ・モーターなどの回転機器 |
| 四角 |
|
弁などの機器。弁では四角1つが1つの切換位置 |
| 三角 |
|
塗りつぶしは油圧、白抜きは空気圧 |
| ギザギザの線 |
|
ばね |
ポンプ・タンク・シリンダーの記号の読み方
ポンプの記号は円の内側に外向きの黒三角を描きます。油を外へ送り出すという意味です。三角が内向きなら油圧モーターで、油の力を受けて回転する機器を表します。円を斜めに横切る矢印があれば、1回転あたりに送り出す油の量を変えられる可変容量形です。タンクは上部が開いた四角で描かれ、大気に開放された一般的な油タンクを表します。
シリンダーは横長の長方形の中にピストンとロッドを描いて表します。ピストンは内部の仕切り板、ロッドは外へ伸びる棒のことです。油の出入口が2か所あり、押し出しと引き込みの両方を油圧で行うものを複動シリンダーと呼びます。出入口が1か所で戻りをばねや自重で行うものは単動シリンダーです。
円+外向きの黒三角
油を送り出す。斜め矢印があれば可変容量形
円+内向きの黒三角
油の力で回転する
上が開いた四角
大気開放形のタンク。回路図の複数か所に描かれることがある
長方形+ピストン+ロッド、出入口2か所
押し出し・引き込みとも油圧で動く
出入口1か所(図はばね戻りの例)
戻りはばねや自重による
※記号は基本形を簡略化して示したものです。正式な形状はJIS B 0125-1をご確認ください。

バルブの記号の読み方
油圧の制御弁は用途によって3種類に大別されます。油の圧力を調整する圧力制御弁、流量を調整する流量制御弁、流れの向きを切り換えたり一方向だけに流したりする方向制御弁です。
| 種類 | 役割 | 代表例 |
|---|---|---|
| 圧力制御弁 | 油の圧力を調整する | リリーフ弁、減圧弁 |
| 流量制御弁 | 油の量を調整し速度を変える | 絞り弁 |
| 方向制御弁 | 流れの向きを切り換える・一方向に限定する | 電磁切換弁、逆止弁 |
方向切換弁の記号では四角1つが1つの切換位置を表します。四角の中の矢印は油が流れる向きを、T字の記号は通路が閉じていることを示します。四角の外側にはポートと呼ばれる接続口の記号が付きます。主にポンプとつながるのがP、タンクとつながるのがT、シリンダーなどのアクチュエータとつながるのがAとBです。四角の両端には切り換える仕組みが描かれ、ギザギザの線はばねを、斜線入りの小さな四角はソレノイド(電磁石)を表します。
3位置4ポート電磁切換弁(スプリングセンタ)の読み方
中央が休止(非通電)位置
- 四角1つの四角が1つの切換位置。この例は3位置
- 矢印その位置で油が流れる向き
- T字通路が閉じている状態
- P・T・A・Bポンプ側・タンク側・アクチュエータ側の接続口
- ばね・ソレノイド切り換える仕組み。通電していないときはばねで中央に戻る
JISでは機器の記号をその機器の非通電状態で表すと定めています。両側にばねが付いた3位置の電磁切換弁であれば、非通電時は中央の四角の位置にあり、回路図もその状態で描かれています。
リリーフ弁は回路の圧力が設定値を超えたときに油をタンクへ逃がし、圧力の上限を決める弁です。ポンプの近くに描かれていることが多い記号です。逆止弁は油を一方向にだけ流して逆向きの流れを止める弁で、チェック弁とも呼ばれます。

回路図はこの順番で読む
初めての回路図は記号を一つずつ覚えようとすると全体が見えなくなります。油の流れに沿って次の順番で読み進めるのがおすすめです。
- 1タンクとポンプを探す油の出発点
- 2リリーフ弁を確認する回路の圧力の上限
- 3切換弁の休止状態を読む止まっているときの流れ
- 4切り換わった後の流れを追う動くときの流れ
- 5シリンダーやモーターの動きを確認押す・引く・回る
記号はあくまで機能を表すもので、実物の形や内部構造と取付位置は表していません。年代の古い図面では改正前の規格による記号が使われている場合もあります。判断に迷う記号は機械メーカーの取扱説明書やバルブメーカーのカタログで確認するのが確実です。
よくある質問
油圧と空気圧の回路図記号はどう見分ければよいですか?
記号の中の三角で見分けられます。塗りつぶした三角は油圧、白抜きの三角は空気圧を表します。基本的な記号の考え方は共通で、どちらもJIS B 0125-1で規定されています。
回路図に描かれているバルブはどの状態を表していますか?
JISでは機器の記号をその機器の非通電状態で表すと定めています。電磁切換弁であれば、ソレノイドに電気が流れていないときの接続が描かれていると考えて読み始めます。
切換弁のP・T・A・Bは何を意味しますか?
接続口であるポートの名称です。一般的にPはポンプ側、Tはタンク側、AとBはシリンダーなどのアクチュエータ側につながります。空気圧機器などでは数字でポートを表す製品もあるため、実際の機器ではカタログや取扱説明書で確認してください。
油圧記号の正式な一覧はどこで確認できますか?
規格の原本は日本規格協会からJIS B 0125-1として入手できます。2026年9月時点の有効版は2020年版です。日常的な確認には、油圧機器メーカーが公開している技術資料やカタログ巻末の記号一覧も参考になります。