2026.06.21

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【渦巻きポンプ】圧力が上がらない・液が出ないときに!現場で疑うべき5つの原因と点検フロー

渦巻きポンプの圧が上らない

渦巻きポンプで「圧力が上がらない」「液が出ない」という事象が起きるとき、原因は大きく5つに分類できます。エア噛み・呼び水不足・吸込条件の超過・逆回転・インペラの摩耗がその主なものです。まず音と圧力計の動きを確認することで、現場でも原因を絞り込むことができます。

この記事でわかること

  • 渦巻きポンプが液を送れなくなる5つの原因とそれぞれの見分け方
  • 現場ですぐ実践できる点検フロー(音・圧力計・外観の確認手順)
  • 同じトラブルを繰り返さないための予防管理のポイント

ポンプのトラブルでお困りですか?症状・機種・使用環境をお知らせいただければ、原因の絞り込みや機器選定をサポートします。

まずは相談する →
01

渦巻きポンプが液を送る仕組み

渦巻きポンプは、回転するインペラ(羽根車)の遠心力で液体を加速し、ケーシング(渦巻き状の流路)で圧力に変換して送り出す機械です。吸込口から液を引き込み→インペラで加速→ケーシングで昇圧→吐出口へ、という流れのどこかに問題があると、圧力低下や吐出量の減少として現れます。

インペラ(羽根車)

ポンプ内部で高速回転し液体に遠心力を与える羽根付きの円盤。摩耗すると性能が低下する

呼び水(プライミング)

起動前にポンプ内と吸込管を液体で満たす作業。これを怠ると空気を吸って液が送れない

フート弁

吸込管の先端に付く逆止弁。停止中の液の逆流を防ぎ、次回起動時に呼び水を保持する

キャビテーション

吸込圧力が低下して液体が内部で気化する現象。「シャーシャー」という異音とともに性能が低下し、放置するとインペラが浸食される

渦巻きポンプは内部が液体で満たされていることを前提に動く機械です。空気が混入した状態では、いくら回転させても液を送ることができません。トラブルの多くはこの空気の問題に起因します。

渦巻きポンプの内部構造
02

現場で疑うべき5つの原因

症状が似ていても、原因によって確認箇所と対処が変わります。それぞれに特有のサインがあるため、症状の出方をよく観察することが診断の近道です。

01
最多原因

エア噛み(吸込管への空気混入)

吸込配管の接続部や軸封部(メカニカルシール・グランドパッキン)のすき間から空気が入り込む状態です。液面が低下して吸込口が露出するケースも多く見られます。圧力計の針の脈動が典型的なサインです。

吸込配管・フランジ接続部・軸封部を外観点検する。液面が低い場合はタンクへ補充し、吸込口の没水深さを確保する

02
停止後に多発

呼び水不足・フート弁の不良

起動前の呼び水が不十分だと空気を吸ったまま空回転します。フート弁が詰まりや固着で機能しないと停止中に管内の液が逆流し、次回起動時に呼び水が失われています。

起動前に呼び水コックから液体が出るまで給水する。フート弁を引き上げて異物付着・固着がないか目視確認する

03
設置条件の問題

吸込揚程の超過・ストレーナー詰まり

ポンプが液面から高すぎる位置にあると、吸込側の負圧が大きくなりすぎて液を引き上げられなくなります。ストレーナーの目詰まりやバルブの絞りすぎも同様の結果を招きます。吸込揚程の目安は機種ごとにカタログで確認してください。この状態が悪化するとキャビテーション(液体の内部気化による異音・浸食)に発展します。

ストレーナーを清掃し、バルブ開度を確認する。ポンプの設置高さとカタログ記載の許容吸込揚程を照合する

04
電気系を確認

モーターの逆回転

三相誘導モーターは結線(U・V・W)の2本を入れ替えると逆回転します。新設・電気工事後に発生しやすく、軸は回っているため目視だけでは気づきにくいのが厄介です。

ポンプ本体の回転方向矢印と実際の回転方向が一致しているか確認する。異なる場合は電気担当者にU・V・Wのうち2本の入れ替えを依頼する

05
経年劣化

インペラの摩耗・内部クリアランスの拡大

長期使用やスラリー(固形物を含む液体)の取り扱いでインペラが摩耗すると、遠心力が十分に生まれなくなります。インペラとケーシング間のすき間(ライナリング)が広がると液体が内部で循環し、吐出量が減少します。性能が徐々に低下するため気づきにくいのが特徴です。

定期オーバーホール時にインペラを目視検査・寸法測定する。ライナリングのクリアランスをメーカー規定値と照合する

渦巻きポンプの故障原因
03

原因を絞り込む点検フロー

焦って分解する前にまずこの順番で確認してください。特殊な測定器がなくても、多くの場合は原因を絞り込めます。

1
 

モーターの回転方向を確認する

ポンプ本体の回転矢印と実際の回転方向が一致しているか目視する。新設・電気工事後は必須。
OK:一致NG:逆回転 → 電気担当者に2線入れ替えを依頼

2
 

吸込バルブ開度・ストレーナーを確認する

吸込バルブが全開か、ストレーナーに異物が詰まっていないかを確認する。詰まりがあれば取り外して洗浄する。
OK:全開・清浄NG:詰まり → 開放・清掃

3
 

液面とフート弁を確認する

液面が低下して吸込口が露出していないか確認する。フート弁を点検し、異物付着・固着・弁座の損傷がないか目視する。
OK:液面十分・弁正常NG:液面低下 → 補充 / 弁異常 → 清掃・交換

4
 

呼び水を実施して再起動する

呼び水コックを開いてポンプ内と吸込管を液体で満たす。エア抜きバルブから液体が出るまで給水する。これだけで解消するケースも多い。
OK:正常起動NG:改善しない → 次のステップへ

5
 

運転中の異音・圧力計の動きを確認する

圧力計が大きく脈動する場合はエア噛み、「シャーシャー」という連続音はキャビテーション、「カンカン」という金属音はインペラ損傷の可能性がある。
OK:圧力安定・静粛NG:異音・脈動 → 吸込条件の見直しまたは分解点検

フローを試しても改善しない場合は、専門家への相談をおすすめします。㈱シー・エス・シーでは機種・使用条件・症状をお知らせいただければ、次のアクションをご提案します。

症状を相談する →
04

同じトラブルを繰り返さないために

トラブルの多くは、日常点検と運転記録の習慣で未然に防ぐことができます。吐出圧力・電流値・異音の変化を記録しておくと劣化の兆候を早期に発見でき、突発停止の前に計画的な対処が可能になります。

点検項目 確認内容 目安頻度
吐出圧力・流量 圧力計の指示値・脈動の有無。設計値からの乖離を確認 毎日
異音・振動 異常音(シャー・カン・ガタ)の有無。軸受付近の振動を確認 毎日
軸封部の状態 グランドパッキンからの適正滴水、メカニカルシールの漏れの有無 週1回
ストレーナー 異物の堆積・目詰まりの確認と清掃 月1回
フート弁・逆止弁 開閉動作・異物付着・錆の有無 3〜6ヶ月
インペラ・ライナリング 摩耗・欠損の目視確認と寸法測定 オーバーホール時

よくある質問

急に流量が落ちた。まず何を確認すればよいですか?

まずストレーナーの詰まり・バルブ開度・液面の低下を確認してください。次に圧力計の脈動(エア噛みのサイン)と異音を確認します。急激な変化はエア噛みやフート弁の不具合が多く、緩やかな低下はインペラ摩耗やライナリングのクリアランス拡大が疑われます。

呼び水をしてもすぐにエア噛みが再発します。なぜですか?

吸込配管のどこかから空気が継続的に入り込んでいる可能性が高いです。フランジ接続部のパッキン劣化、ねじ込み継手のシール不足、軸封部の摩耗が主な原因です。液面が吸込口ぎりぎりの状態でも液面の渦から空気を吸い込むことがあるため、没水深さをメーカー推奨値以上に確保してください。

キャビテーションが発生したとき、応急処置はありますか?

吐出側のバルブをわずかに絞って流量を落とすと、吸込側の圧力低下が緩和できる場合があります。ただしこれは応急処置です。根本原因(設置高さ・配管径・液温など)を解消しないと再発します。キャビテーションを放置するとインペラが浸食されて交換が必要になるため、早めに専門家へ相談してください。