2026.07.30
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研磨性の高い塗料でポンプが摩耗する原因と対策|ダイヤフラムポンプのメリットと注意点

研磨性の高い塗料には微細な顔料・充填材が含まれ、ポンプ内部を削り取ってしまうことがあります。摩耗が進むと吐出量低下や液漏れの原因になります。本記事では摩耗のメカニズムと対策として選ばれることが多いダイヤフラムポンプの特徴・注意点を解説します。
この記事でわかること
- 研磨性塗料がポンプを摩耗させるメカニズム
- 摩耗によって現場で起きる具体的なトラブル
- ダイヤフラムポンプが選ばれる理由と、導入時に注意すべき点
研磨性の高い塗料とは何か
研磨性が高い塗料とは、酸化チタンやシリカ、金属粉などの硬い粒子を多く含む塗料のことで、ポンプ内部を物理的に削ってしまう性質を持ちます。
塗料の中には発色や隠ぺい力、耐久性を出すために硬質の顔料・充填材(フィラー)を多く配合しているものがあります。これらの粒子はポンプ内部で流体と一緒に流れる際、金属やゴムなどの表面に接触し、少しずつ削り取っていきます。この現象を摩耗またはアブレシブ摩耗と呼びます。液体そのものは問題なくても、中に含まれる粒子の硬さ・量・形状によって摩耗の進み方は大きく変わります。
硬い粒子が表面と擦れ合うことで、削り取られるように進行する摩耗現象
塗膜の強度や隠ぺい力を高めるために配合される粉体成分。硬度の高いものが多い

なぜポンプ内部が摩耗するのか
塗料中の粒子がポンプ内壁やシール部と擦れ合うことで、表面が少しずつ削られ、隙間や薄肉化が進行します。
ポンプは流体を吸い込み、押し出す過程で内部の壁面やシール、バルブ部分に流体が接触し続けます。研磨性のある粒子を含む塗料の場合、流速が速い部分や流れが曲がる部分ほど粒子の衝突エネルギーが大きくなり、局所的に摩耗が進みやすいとされています。特にポンプの吸入・吐出バルブ周辺や流路が絞られる部分は摩耗が集中しやすい箇所です。
粒子の衝突エネルギーが大きくなり、摩耗が進みやすい
粒子が壁面に当たる角度が大きく、局所的に削れやすい
バルブ・シート周辺など摩耗が集中しやすい箇所
現場で起きる摩耗トラブルと兆候
摩耗が進行すると吐出量の低下・圧力の不安定化・液漏れといった形で現場に影響が現れます。
摩耗によってポンプ内部に微細な隙間ができると、本来押し出されるはずの塗料が逆流し、吐出量が徐々に低下していきます。また、バルブのシート部が摩耗すると密閉性が落ち、圧力が安定しなくなることがあります。さらに摩耗が進行してケーシングやシール部に穴が空くと、塗料の漏れにつながるケースもあります。これらの兆候は初期段階では気づきにくく、定期点検で吐出量や圧力の変化を記録しておくことが早期発見につながります。

対策として求められるポンプの条件
研磨性塗料を扱う際は、耐摩耗性の高い材質・構造と目詰まりに強いシンプルな流路構造を持つポンプが適していると言われています。
対策の方向性としては大きく2つあります。ひとつは接液部にウレタンやセラミックなど耐摩耗性に優れた材質を採用すること。もうひとつは粒子が滞留しにくく、局所的な摩耗集中を避けやすいシンプルな流路構造にすることです。どの材質・構造が最適かは塗料の種類や粒子の性質によって条件が異なるため、一般的にはメーカーへの相談や実流体でのテストが推奨されています。
| 着眼点 | 求められる特徴 |
|---|---|
| 接液部の材質 | ウレタン・セラミックなど耐摩耗性に優れた材質 |
| 流路の構造 | 粒子が滞留しにくいシンプルな構造 |
| 可動部の摺動 | 流体中を摺動し続ける部品が少ない構造 |
摩耗対策に絶対はありません。塗料の粒子径・硬度・配合量によって最適な材質・構造は変わるため、実際の流体でのテストやメーカーへの相談を通じて条件を確認することが大切です。
ダイヤフラムポンプが選ばれる理由
ダイヤフラムポンプは可動部が流体と直接摺動しにくい構造のため、研磨性のある流体を扱う現場で選択肢に挙がることが多いポンプです。
ダイヤフラムポンプは、ゴムや樹脂製の膜(ダイヤフラム)がエア圧などで上下することで吸入・吐出を行う構造です。回転する軸受のように流体中を摺動し続ける部品が少ないため、研磨性のある流体でも比較的トラブルが起きにくいとされています。また、乾燥運転(空運転)にもある程度耐えられるものが多く、塗料のように粘度や性状が変化しやすい流体を扱う現場との相性がよいと言われています。
ダイヤフラムポンプ導入時の注意点
ダイヤフラムポンプであっても、ダイヤフラム自体やバルブ・シート部は塗料と接触するため、材質選定とメンテナンス計画は引き続き必要です。
ダイヤフラムポンプは万能ではありません。ダイヤフラムそのものやボールバルブ、シート部は塗料と直接触れる消耗部品であり、研磨性の高い塗料であればこれらの摩耗・劣化は避けられません。そのため、消耗部品の交換サイクルをあらかじめ想定しておくことや部品交換のしやすさ(メンテナンス性)を選定段階で確認しておくことが重要です。数値的な交換頻度は塗料の性状や運転条件によって大きく異なるため、一概には言えず、実績のあるメーカーへの確認が推奨されます。
よくある質問
研磨性の高い塗料かどうかは、どう判断すればいいですか?
塗料に含まれる顔料や充填材の種類・配合量によって判断されることが一般的ですが、明確な基準値は塗料メーカーによって異なります。塗料メーカーが提供するSDS(安全データシート)や技術資料を確認するのが確実です。
ダイヤフラムポンプ以外に研磨性塗料に向いているポンプはありますか?
塗料の粘度や粒子の性質によっては、他の容積式ポンプが適している場合もあります。流体の条件によって最適なポンプは変わるため、一般的には条件を整理したうえでの比較検討が推奨されます。
摩耗が進んでいるかどうかは、どうやって確認できますか?
吐出量や圧力の記録を定期的に取り、初期値からの変化を追うことが有効とされています。異音や振動の変化も摩耗のサインとなることがあります。