2026.10.06
- 設計・選定
- 産業用ポンプ
用途に合ったポンプの選び方|選定前に整理したい5つの条件とエア駆動ダイヤフラムポンプという選択肢

ポンプ選定は移送する液の性質や設置環境など5つの条件を整理すると候補を絞り込めます。数あるポンプ形式の中でもエア駆動式ダイアフラムポンプは電気を使わず空運転や締切運転にも対応できるため、汎用性と信頼性を兼ね備えた選択肢として検討する価値があります。
この記事でわかること
- ポンプ選定の前に整理したい5つの条件
- エア駆動式ダイアフラムポンプの特長と使われている業界
- ポンプ形式の比較とサンドパイパーのポンプが選ばれる理由
ポンプ選びは条件の整理から始める
産業用ポンプには数多くの形式があり、選択肢はほぼ無数にあると言ってよいほどです。ポンプ選びは設備の安定稼働を左右する重要な判断ですが、カタログや検索結果を一つずつ比べていくのは手間がかかります。
選定をシンプルにするコツは型式から探し始めないことです。送りたい液や使う場所といった条件を先に整理しておけば合わない形式は自然に外れ、短時間で候補を絞り込めます。
選定前に確認したい5つの条件
ポンプ選定で押さえておきたい条件は次の5つです。
用途(液の性状)
どんな液を送るのか。研磨性のある液やスラリー、固形物を含むか
使用環境
水中に沈めて使うか。極端な高温や低温にさらされるか。液に毒性や爆発の危険があるか
流量と接続
必要な流量はどれくらいか。接続口のサイズと接続方式は何か
保守体制
定期的なメンテナンスに対応できるか。修理より交換を選びたいか
予算
用途ごとに複数台を導入できるか。1台を複数の用途で使い回すか
※スラリー:細かな固体粒子が液体に混ざった泥状の流体。
なかでも選定を大きく左右するのが液の性状と使用環境です。固形物を含む液を想定していないポンプで送ると摩耗や詰まりが早く進みます。引火性の液を扱う場所では電気を使う機器に防爆対策が求められるため、ポンプの動力源そのものが選定の分かれ目になります。
汎用性と信頼性を兼ね備えたエア駆動式ダイアフラムポンプ
ポンプには渦巻ポンプやギアポンプのほか、ローブポンプ、ねじポンプ、ホースポンプ、ピストン・プランジャーポンプなどさまざまな形式があります。それぞれに得意な液や使い方があるため、条件に合わせて選び分けるのが基本です。
そのなかで汎用性と信頼性を兼ね備えた選択肢として検討したいのがエア駆動式ダイアフラムポンプ(AODDポンプ)です。圧縮空気で膜(ダイアフラム)を往復させて液を吸い込み吐き出す容積式のポンプで、メンテナンスの負担が少なく過酷な環境でも幅広い液を扱えます。
圧力と流量の関係や持ち運びやすさは渦巻ポンプに似ていますが、液を押し出す仕組みは容積式という独特のポンプです。動力となる圧縮空気が膜の両側の圧力を釣り合わせるため膜への負担が小さく、機械的に膜を動かすダイアフラムポンプに比べて膜が長持ちしやすいとされています。

エア駆動式ダイアフラムポンプの特長と使われている業界
メンテナンスの負担が少ないことに加えて、エア駆動式ダイアフラムポンプには次のような特長があります。
電源が不要
圧縮空気で動くため電気を使いません。接地を取ることで安全に運転できます。
固形物を含む液も送れる
ポンプも送る液も傷めにくい構造です。通過できる粒子の大きさは口径や機種で決まります。
自吸と空運転が可能
呼び水なしで液を吸い上げられ、液がない状態で動いても壊れにくい構造です。
連続運転と間欠運転に対応
運転と停止を繰り返してもポンプや設備を傷めにくくなっています。
締切運転ができる
吐出側を閉じると停止し、開けばそのまま再始動します。
せん断に弱い液にやさしい
液をかき回さずに送るため、性状が変わりやすい液にも使いやすいポンプです。
水中で使える機種もある
機種によっては全体を液中に沈めて使えます。
軸封がない構造
高価なメカニカルシールやパッキンを必要としません。
流量と圧力を簡単に調整
エア圧の調整だけで変えられ、複雑な制御装置がいりません。
接続口の選択肢が多い
下吐出しなど液の性質に合わせた接続口を選べる機種があります。
※締切運転:ポンプの吐出側のバルブを閉じた状態で運転すること。
※軸封:回転軸が貫通する部分から液が漏れないようにする部品。
扱える液と環境の幅が広いことから、エア駆動式ダイアフラムポンプは多くの業界で使われています。余分な水の排出から研磨性の強いスラリーや固形物の移送まで、一つの形式で幅広く対応できる点が選ばれる理由です。
エア駆動式ダイアフラムポンプが使われている主な業界
- 化学
- 塗料・コーティング
- 食品・飲料
- 医薬品・化粧品
- 自動車
- 航空宇宙
- 窯業
- 建材・建設
- 製紙・パルプ
- 鉱業
- 石油・ガス
- 船舶
- 包装
- 排水処理
送りたい液や設置場所に対してエア駆動式ダイアフラムポンプが使えるかどうかは、液の性状や接液部の材質との相性で決まります。液の種類と使用条件をお知らせいただければ、サンドパイパーの製品から適合する機種を確認します。
ポンプ形式の比較と選定を誤ったときのリスク
用途や環境に合わないポンプを選ぶと事業に大きな影響が出るおそれがあります。液漏れや流量不足に始まり、計画外の設備停止や売上の損失につながることもあります。さらに作業者の安全が脅かされたり、液が施設の外に漏れ出して環境問題に発展したりする可能性もあります。
漏れた液によって作業者の安全や周辺環境にまで影響が広がるおそれもあります
ポンプは設備を正常に動かし続けるための要となる機器です。よく求められる条件とポンプ形式の関係を整理すると次のようになります。
| 条件 | 渦巻ポンプ | ギアポンプ | 一軸ねじポンプ | エア駆動式ダイアフラムポンプ |
|---|---|---|---|---|
| 自吸(呼び水なしで吸い上げ) | △ | ○ | ○ | ○ |
| 空運転 | × | × | × | ○ |
| 締切運転 | × | × | × | ○ |
| 固形物・スラリー | △ | × | ○ | ○ |
| 高粘度液 | × | ○ | ○ | ○ |
| 電源不要(防爆エリア) | × | × | × | ○ |
| 軸封がない構造 | × | × | × | ○ |
| 大流量の連続運転 | ○ | △ | △ | △ |
○適している △条件による ×一般的に不向き
※機種や仕様により異なります。自吸式渦巻ポンプやスラリー専用ポンプ、軸封のないマグネット駆動式なども存在します。
大流量の水を効率よく送るなら渦巻ポンプ、油を定量で送るならギアポンプというように、条件によって最適な形式は変わります。そのうえで液の種類や設置環境が多岐にわたる現場では、多くの場合でエア駆動式ダイアフラムポンプがほかの形式にない利点を発揮します。
サンドパイパーのエア駆動式ダイヤフラムポンプが選ばれる理由
当社が取り扱うサンドパイパーは、1965年の創業以来エア駆動式ダイアフラムポンプを中心に手がけてきた米国のメーカーです。一般用途向けから有害な液や腐食性の液を安全に扱う用途向けまで幅広い製品をそろえ、既製品に加えて用途に合わせた仕様にも対応しています。なかでも重負荷用のボールバルブ形とフラップバルブ形は、研磨性の強い液や濃い汚泥、スラリーといった扱いにくい液の移送に向けた構成です。
AODDポンプで整備の頻度が高い部位の一つが、圧縮空気の供給先を左右の膜室に切り替えるエア切替機構です。サンドパイパー独自のESADSはこの機構をポンプの外側から整備できる構造で、ポンプを配管から外さずに点検や清掃ができます。メーカーによると日常の整備や清掃は約5分で完了し、一般的なAODDポンプで55分以上かかる作業を大幅に短縮できるとされています。
また幅広い安全認証を取得しているほか、エアバルブの作動に関する保証も設けられています。交換部品はキットで用意されているため、導入後の保守計画も立てやすいポンプです。

サンドパイパーは口径や接液部の材質、バルブ形式の組み合わせが多く、条件に合う型式を一から絞り込むのは手間がかかります。現在お使いのポンプの型式や配管条件をお送りいただければ、置き換えを含めて最適な型式の選定をお手伝いします。
よくある質問
ポンプ選定で最初に確認すべきことは何ですか?
移送する液の性状です。粘度や腐食性、固形物の有無によって使える形式が大きく変わります。次に使用環境を確認し、可燃性の液や防爆エリアでの使用かどうかを整理すると候補を絞り込みやすくなります。
1台のポンプを複数の液の移送に使えますか?
液ごとに接液部の材質との相性を確認する必要がありますが、条件によっては可能です。エア駆動式ダイアフラムポンプは対応できる液の範囲が広く、使い回しの用途で選ばれることがあります。液が混ざると問題になる場合は洗浄の手間も含めて検討しましょう。
空運転するとポンプは壊れますか?
形式によって異なります。渦巻ポンプやギアポンプ、一軸ねじポンプは液による冷却や潤滑を前提としているため、空運転で内部が損傷するおそれがあります。エア駆動式ダイアフラムポンプは一般的に空運転が可能ですが、運転条件はメーカーの取扱説明書に従ってください。
エア駆動式ダイアフラムポンプの脈動は抑えられますか?
2枚の膜が交互に動く構造のため吐出に脈動が生じやすく、吐出側に脈動ダンパーを設置して抑える方法が一般的です。配管の振動防止やフィルターの保護にも効果があるとされています。