2026.10.14

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  • 産業用ポンプ

サンドパイパーの型式選定手順と材質の選び方|エア駆動式ダイヤフラムポンプで最適な流体移送を

サンドパイパーの型式選定方法

サンドパイパーを選ぶときは本体価格だけでなく、サイズ帯ごとに総コストを左右する要素を見ることが大切です。小型は価格と納期が判断の中心になりやすい一方で、中型〜大型では停止しにくさや整備性とエア消費量の差が効いてきます。本記事では課題の整理からタイプ・サイズ・材質・型式の決め方までを手順に沿って解説します。

この記事でわかること

  • サイズ帯によって比較のポイントが変わる理由
  • タイプ・サイズ・材質・型式を決める手順
  • サンドパイパーの特長と適したアプリケーション
01

サンドパイパーはサイズ帯で判断軸が変わる

サンドパイパーは圧縮空気で2枚のダイヤフラム(液を押し出す膜)を交互に動かして液を送るエア駆動式ダイヤフラムポンプのブランドです。1/4Bの小型機から4Bの大型機まで、一般液用から固形物用や漏れ防止用まで幅広くそろっています。

ただし、どのサイズでも同じ基準で選べるわけではありません。小型機は本体価格が比較的低く、故障したら修理せず新品へ交換する消耗品的な使い方も多く見られます。この場合は価格と納期が判断の中心です。一方で口径が大きくなるほど1台あたりのエア消費量は増え、停止したときに止まる工程も大きくなります。中型〜大型はエア消費量と停止損失の比重が上がるため、本体価格の差よりも停止しにくさや整備性と用途への適合が総コストを左右しやすくなります。

口径 小 → 大

1/4B〜1/2B

小型

代表機種
X02・BP1/4・S05
最大吐出量
〜約57 L/min
よくある使われ方
小分け・少量移送・装置組込み

判断の中心価格・納期

特長が効く度合い   

1B〜1-1/2B

中型

代表機種
S1F・S15
最大吐出量
〜約401 L/min
よくある使われ方
塗料・薬液・油の工程移送

判断の中心価格と総コストのバランス

特長が効く度合い   

2B〜4B

大型

代表機種
S20・S30・HDシリーズ
最大吐出量
〜約1,136 L/min
よくある使われ方
排水・汚泥・スラリー・大量移送

判断の中心総コスト(エア・停止・保守)

特長が効く度合い   

最大吐出量は常温清水・吐出圧ゼロ時のカタログ値です。区分と特長が効く度合いは本記事での目安です。

小型機でも同じ型式を多数使う工場や装置に組み込んで止められない用途では、停止しにくさや部品の共通化が効いてきます。サイズだけで決めつけず使い方と合わせて判断することが大切です。

特長が活きやすい運転条件

 

運転と停止を繰り返す

バッチ・液面制御

中間停止しにくいスタンダード

 

止められない連続工程

停止損失が大きいライン

配管に付けたまま整備全タイプ

 

スラリー・汚泥・固形物

排水ピット・研磨粒子含有液

重耐久バルブHDボール/HDフラップ

 

有害・危険性の液体

漏れを絶対に防ぎたい工程

漏れ防止・検知コンテインメント

 

屋外・仮設の現場

エアの質が安定しにくい環境

無給油エア弁全タイプ

 

同型を複数台使う工場

予備部品を減らしたい

部品の共通化全タイプ

02

まず既設ポンプの課題を言葉にする

置換の目的によって比較すべき項目は変わります。流量を増やしたいのか故障を減らしたいのか、あるいはエア代を下げたいのかが曖昧なままでは適切な機種を判断できません。まず現在の困りごとを書き出し、確認すべき項目に結びつけます。

課題考えられる原因確認すること
流量が足りない
能力不足/エア圧不足/粘度
性能曲線の運転点・供給エア圧
ダイヤフラムがすぐ破れる
材質不適合/温度/固形物
全接液部の材質・温度・タイプ
止まったまま動かない
エア切替部の汚れ・Oリング摩耗
エア部の整備性・供給エアの質
エア代が気になる
能力の過不足/高すぎるエア圧
同じ運転点でのエア消費量
修理部品の種類が多い
機種・材質がばらばら
部品の共通化

課題を書き出すと、現在困っていなくても見直したい項目が見つかることがあります。たとえば故障時だけ修理している場合は計画的な部品交換に切り替えるだけで停止損失を減らせる可能性があります。

型式が決まっていなくても大丈夫です。既設ポンプの写真や最近よく止まるといった困りごとのひと言からご相談いただけます。サイズ帯や使い方を伺ったうえでサンドパイパーが合うかどうかも含めてお答えします。

03

必要性能からタイプとサイズを決める

タイプは流体の性質で決まります。上から順に確認し、最初に当てはまったものが候補です。

Q1有害・危険性の液体で漏れを絶対に防ぎたい
YES

コンテインメントデューティ

封入チャンバー+漏れ検知

NO
Q225mm以上の固形物を含む
YES

HDフラップバルブ

固形物25〜75mm

NO
Q3重く沈殿する固形物・高粘度液
YES

HDボールバルブ

固形物6〜22mm

NO
Q4それ以外の一般液
 

スタンダードタイプ

サイズは下のグラフで確認

サイズは必要流量と吐出圧から決めます。カタログの最大吐出量は常温の清水で吐出圧ゼロのときの値で、実際には吐出圧や粘度が上がるほど流量は下がります。最大吐出量ぎりぎりで選ばず、性能曲線で必要流量と吐出圧の交点(運転点)に余裕があるかを確認してください。吐出圧は供給エア圧を超えないため工場のエア圧が足りるかも確認が必要です。

スタンダードタイプの最大吐出量(L/min)

金属本体樹脂本体

X02/BP1/41/4B
 約18
 約19
S051/2B
 約57
 約52
S1F1B
 約170
 約200
S151-1/2B
 約401
 約378
S202B
 約758
 約605
S303B
 約1,078
 約1,060

小型中型大型

常温清水・吐出圧ゼロ時のカタログ値です。実際の流量は吐出圧や粘度によって下がります。

既設ポンプと同じ口径に置き換えても能力が同じになるとは限りません。逆に既設が能力過剰であれば、適正なサイズにすることでエア消費量を抑えられる場合があります。

サンドパイパーの種類
04

材質は液体の種類と接液部すべての組み合わせで決める

接液部とは液体に触れる部品のことで、ポンプ本体(液室・マニホールド)・ダイヤフラム・チェックボール・バルブシート・Oリングなどが該当します。ダイヤフラムが薬品に強くても本体やシートが合わなければ腐食や膨潤(ゴムが液を吸ってふくらむこと)が起こります。すべての接液部が液体に合う組み合わせで選びます。

下の早見表は液体ごとに最初に検討する材質の目安です。使えるかどうかの判定ではないため、最終的には薬品名・濃度・温度の条件でメーカーの耐薬品性資料を確認します。

液体別・最初に検討する材質

検討の出発点です。適合の判定ではありません

色の見方金属汎用樹脂(PP)フッ素樹脂(PVDF・PTFE)ゴム・エラストマー

液体本体の候補ダイヤフラム等の候補確認ポイント
 
水・一般排水
アルミ鋳鉄ステンレス
NBREPDMサントプレン
塩分・pH・混入物
 
鉱物油・作動油
金属
NBR
EPDMは油に不向き/合成油は別途確認
 
水系塗料・インキ
ステンレス
PTFEサントプレン
水と同じ扱いにしない
 
溶剤系塗料・インキ
金属
PTFE
洗浄シンナーも確認/防爆
 
有機溶剤
金属
PTFE
ゴムは膨潤しやすい/塩素系溶剤+アルミは要照会
 
酸性薬液
PPPVDF
薬品ごとに確認
濃度・温度で結果が変わる
 
アルカリ性薬液
PPステンレス
EPDM
アルミは不向き/高濃度・高温は要照会
 
洗浄液
主成分に応じて上の行で検討
製品名だけでは判断不可→SDSを確認
 
スラリー・固形物
接液部の耐摩耗性を重視
粒径が通過可能サイズ内か
 
成分不明
材質の検討は行わない
SDS・ラベルで成分確認が先

使用温度は組み合わせた材料のうち最も狭い範囲を目安にします。PTFEダイヤフラムにネオプレンのバックアップを組み合わせた場合は、PTFEの上限104℃とネオプレンの上限93℃のうち低い93℃が目安です。

ダイヤフラム・ボール材料の運転温度範囲(カタログ値)

-40℃0℃100℃180℃
FKM
 
−40〜177℃
EPDM
 
−40〜138℃
サントプレン
 
−40〜135℃
PTFE
 
−37〜104℃
ハイトレル
 
−29〜104℃
ネオプレン
 
−23〜93℃
NBR
 
−23〜88℃
ウレタン
 
0〜66℃
組み合わせ例PTFE 104℃ + ネオプレン 93℃ → 低い方の93℃が目安

温度範囲は液体との適合を示すものではありません。

既設と同じ材質であっても腐食や摩耗の履歴があれば見直す余地があります。可燃性液や防爆エリアでは静電気対策として導電性材質が必要かを確認します。いずれも液体の正式名称と濃度・温度・SDS(安全データシート)がそろって初めて判断できます。

決めた内容は12桁の型式コードに反映されます

①Sシリーズ
②20口径
③Bバルブ
④1バージョン
⑤S本体
⑥Gダイヤフラム
ボール
⑦Tシート
⑧A非接液部
⑨B接続
⑩Sタイプ
⑪0オプション
⑫00キット

 ⑤⑥⑦は接液部。材質選定の結果で決まります

例:S20B1SGTABS000 = 2B・ステンレス本体・PTFE+ネオプレンバックアップ・PTFEシート・塗装アルミ非接液部・BSPT接続

コードの組み合わせには製作できないものがあります。

ダイヤフラムポンプのバルブ・チェックシート

この液体に使える材質はどれか、既設と同じ材質で問題ないかといった質問だけでも構いません。SDSと運転温度が分かれば本体・ダイヤフラム・ボール・シートの組み合わせと型式の候補まで確認します。成分が分からない場合も何を調べればよいかを一緒に整理します。

05

中型〜大型は総コストで比べる

エア駆動式ダイヤフラムポンプは圧縮空気で動くため、エア消費量はコンプレッサの電力に直結しランニングコストの中心になります。比べるときはカタログの最大値ではなく、自社の必要流量と吐出圧の運転点でのエア消費量を性能曲線で比較してください。エア消費量は機種や運転条件によって差が出るため、置換前後の条件をそろえて試算することが大切です。

保守性は停止時間とつながります。エア部の整備にポンプを配管から外す必要があるか、交換部品をどれだけ共通化できるかで修理のたびの停止時間と予備部品の管理負担が変わります。小型機で修理せず交換する運用なら修理キットと新品の価格差や納期も比較材料になります。

見積を比較する前のチェックリスト

全サイズ中大型で重要小型で重要

  •  必要流量と吐出圧の運転点を性能曲線で確認した全サイズ
  •  本体価格と納期を比較した全サイズ
  •  接液部すべての材質と温度範囲を確認した全サイズ
  •  その運転点でのエア消費量を比較した中大型で重要
  •  エア部の整備にポンプの取り外しが必要か確認した中大型で重要
  •  交換部品の価格・交換頻度・入手性を確認した中大型で重要
  •  修理キットと新品の価格差を確認した小型で重要
  •  配管接続(ねじ規格・フランジ)と設置スペースが合う全サイズ
  •  防爆・可燃性液への対応要否を確認した全サイズ
ダイヤフラムポンプ
06

サンドパイパーを評価するときに見たい特長

ここまでの手順で比較項目を整理すると、サンドパイパーの価値は価格表ではなく止まりにくさと整備のしやすさ、そして用途への適合に表れることが分かります。中型〜大型や止められない工程を比較するときは次の点を確認してください。

 

配管に付けたまま整備できるエア切替部(ESADS+)

外側の4本のボルトを外すだけでパイロットバルブとスプールバルブにアクセスでき、配管に付けたまま約5分でエアバルブの交換ができます。

止められない連続工程

 

中間停止しにくいエア切替構造

振動や圧力の偏りによるスプール(エアの流れを切り替える部品)のずれを防ぐ構造です。運転と停止を繰り返しても再始動しやすい設計です。

バッチ・液面制御

 

無給油で動くエア弁

エア側に給油装置を設けずに運転できる設計です。

屋外・仮設の現場

 

全ボルト締め構造

液室をボルトで締結する構造で、液漏れしにくい設計とされています。

薬液・塗料の移送

 

用途別4タイプと豊富な材質

スタンダード・HDボール・HDフラップ・コンテインメントの4タイプを1/4B〜4Bの口径と多様な接液部材質から組み合わせられます。

スラリー・危険液

 

シリーズ間での部品共通化

複数台をそろえることで、予備部品の種類と在庫管理の負担を減らしやすくなります。

複数台の工場

主なアプリケーションと選び方の目安

候補は移送する液体と運転条件で変わります。最終的にはタイプ・サイズ・材質の手順に沿って確認してください。

 

塗料・インキ・接着剤

塗料の供給や循環・タンクからの移送

スタンダード溶剤系は防爆を確認

 

化学・薬品

酸・アルカリ・溶剤の移送や受け入れ

スタンダード(樹脂本体)コンテインメント

 

排水・水処理

ピット排水・汚泥・処理薬品の移送

HDボールHDフラップ

 

建設・土木の仮設排水

土砂混じりの水・掘削現場の排水

HDフラップ電源のない現場

 

鉱業・セラミックス

研磨性のあるスラリーや泥しょうの移送

HDボール耐摩耗性を重視

 

電池材料・電子部品

電極スラリーや薬液の移送

スタンダードHDボール材質は液ごとに確認

 

工場設備の保全

作動油・クーラント・洗浄液の移送や抜き取り

スタンダード(金属本体)

 

食品・化粧品

原料・添加液・洗浄液の移送

衛生仕様の要否を確認

エアバルブの交換

見積の比べ方が分からない場合や既設ポンプとの違いを知りたい場合もお気軽にご相談ください。エア消費量を含めた置換前後の試算や在庫品・デモ機での確認についてもご案内します。

QA

よくある質問

小型ポンプでもサンドパイパーを選ぶ意味はありますか?

小型機にも外部から整備できるエア弁や中間停止しにくい構造が備わっています。ただし故障時に新品へ交換する使い方では価格と納期が判断の中心になります。同型を多数使う場合や装置に組み込んで止められない用途では小型でも特長が活きやすくなります。

他社製のダイヤフラムポンプからそのまま置き換えられますか?

多くの場合はサンドパイパーへの置き換えが可能です。1/4B〜4Bまでの口径と幅広い材質に加え、ねじ(NPT・BSPT)やフランジの接続からも選べるため、既設に近い仕様を組めます。配管の位置や取付寸法が既設と異なる場合もあるので、銘板と配管の写真をお送りいただければ置き換えの可否を確認します。

サンドパイパーに変えるとエア消費量は減りますか?

サンドパイパーはエア消費量の少なさを特長のひとつとしており、置換でエア代を下げられるケースがあります。特に既設ポンプが大きすぎる場合やエア圧を高めにして使っている場合は効果が出やすくなります。削減できる量は使い方によって変わるため、置換前後の試算やデモ機での確認もご相談ください。

移送している液体の成分が分からなくても選定できますか?

推測で材質を決めることは避けてください。製品名やSDS・容器ラベルから成分と濃度を確認し、不明な点が残る場合は追加確認やメーカーへの照会を行ってから選定します。