2026.10.30

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  • 産業用ポンプ

製紙工場のポンプ故障・漏れの改善事例|製紙・パルプ工場のピット排水におけるサンドパイパーへの置き換え

製紙工場のポンプ故障・漏れの改善事例

この記事の要約

  • 設備保全
  • 生産技術
  • 購買・調達
  1. 製紙工場のエア駆動式ダイヤフラムポンプは、空気や固形分を含み、粘度や液位が変わる液を受け持つことが多い。
  2. サンドパイパーはポート位置の選択、摩耗対策、外部から整備できるエア分配部、止まりにくい設計でトラブルを減らす。
  3. クラフトパルプ工場のピット排水では、漏れの多いポンプを置き換えて無人運転を実現した。
  4. 置き換えは、異常時の液の条件と今の保守コストを把握することから始める。

01

製紙工場で使われる場面

  • 排水ピット・サンプ排水雨水、工程からの流出液空運転漏れ泡
  • 薬品薬品の移送アルカリ液などの薬品材質不適合漏れ
  • のりでん粉のり・接着剤段ボール・紙加工用弁の固着詰まり
  • 塗工塗工液・填料スラリー顔料・填料を含む液摩耗堆積
  • 汚泥排水処理・スラッジ沈殿汚泥、繊維分弁の着座不良閉塞
  • どの場面も液の条件が一定ではありません。カタログの流量と揚程だけで選ぶと故障につながりやすくなります。

※ 代表的な例です。実際の液性状は工程や原料によって異なります。

02

液の性状とポンプ方式の相性

表は横にスクロールできます ▶

液の性状・条件 遠心
ポンプ
回転式
容積ポンプ
エア駆動式
ダイヤフラム
ポンプ
サンドパイパー
ヘビーデューティ
空気・ガスを含む △エア噛み ○ ○ ◎トップポート
沈降する固形分 △摩耗 △かみ込み ○室内に堆積 ◎ダウンポート
粘度の大きな変動 △ ◎ ○ ○重量ボール
空運転 × × ○ ○
吸い上げ(自吸) △ ○ ○ ○
軸シールからの漏れ △シールあり △シールあり ○シールレス ◎全ボルト締結
吐出側を閉じたとき △発熱 ×安全弁が必要 ○停止 ○開けば再始動
  • ◎特に適する
  • ○適する
  • △条件次第
  • ×不向き
  • ※ 一般的な傾向です。回転式容積ポンプは軸シールありの場合です。

エア駆動式ダイヤフラムポンプ同士で差が出る点

  • 固形分の逃がし方
  • 摩耗への備え
  • エア切換部の信頼性
  • 整備のしやすさ

ポンプ選定のご相談

今のポンプのトラブルを液の性状から整理しませんか

液名、温度、固形分、不具合の内容をお知らせください。

相談する

03

事例:クラフトパルプ工場のピット排水

排水ピットに設置したダイヤフラムポンプ
  • 業種クラフトパルプ工場
  • 用途流出液封じ込めエリアのピット排水
  • 採用機種2インチ ヘビーデューティ・ボール ダウンポート
  • 流入する液雨水と黒液石けん(トール油石けん)脂肪酸が主成分で泡立ちやすく、こぼれると床が滑りやすくなる

ピット内の液は通常時と異常時で大きく変わる

項目通常時異常時
主な液雨水石けんのみの場合も
空気の混入少ない泡立ちが多い
粘度水に近い大きく変動
固形分少ない浮遊固形分あり

メーカー技術資料を基にした比較イメージです。バーの長さは実測値ではありません。

置き換えの前と後

置き換え前

  • 別方式のポンプを設置
  • 漏れが多かった
  • 液の条件の変化に対応できなかった

▶

サンドパイパー導入後

  • 自吸式でピットの底まで吸い切れる
  • シールレスで漏れのない排出
  • 空運転や泡立つ液にも対応
  • 吐出弁とフロートで発停し無人運転に

事例から読み取れる4つのヒント

  1. 最悪のときの液で選ぶ粘度、固形分、空気の混入は変動の上限で確認します。
  2. 漏れは構造でなくすシールレス構造なら軸シールの交換そのものが不要です。
  3. 制御は単純にする吐出弁の開閉だけで発停でき、保全の手間が減ります。
  4. ポート位置まで指定する同じ機種でもポート位置によって寿命が変わります。

04

サンドパイパーを評価する5つの視点

サンドパイパーヘビーデューティーモデル
  1. ポート位置液の性状に合わせて3方向から選べる
  2. 摩耗対策重量ボール、摩耗パッド、厚肉の接液部
  3. 整備性配管を外さずにエア分配部を整備できる
  4. 停止しにくさノンストール設計で発停に強い
  5. 保証と部品コネクティングロッド保証、補修キット

視点 1

液の性状に合わせてポート位置を選べるか

トップポート(上部吐出)

吐出 ▲ ダイヤフラム室●●●●●●●●● 吸込 ▲ ✕ 沈む固形分が室の底にたまりやすい

ダウンポート(下部吐出)

ダイヤフラム室● ● 吸込 ▲吐出 ▼ ◯ 固形分は重力で吐出側へ排出される

図1 沈む固形分を含む液でのポート位置の違い(模式図)。メーカーは、室内に固形分がたまるとダイヤフラムプレートやコネクティングロッドの破損、偏摩耗の原因になると説明しています。気泡や浮遊物を含む液にはトップポート、狭い場所にはサイドポート(一部機種)を使います。

確認ダイヤフラムの破損位置に偏りはないか。分解時に室内に固形分がたまっていないか。

視点 2

摩耗や粘度の変動にどこまで備えているか

  • 重量チェックボール30〜60%重いゴム製ボールとの比較(メーカー公表値)。粘性液でも弁が確実に閉じます。
  • ダイヤフラム摩耗パッド2つ目の摩耗面でダイヤフラムを保護
  • 厚肉の接液部摩耗代を大きく取った設計
  • 大きな流路断面流速を抑えて摩耗を減らす
  • 全ボルト締結継ぎ目からの漏れを防ぐ

確認いちばん交換頻度の高い部品はどれか。原因は摩耗か、固着か、破損か。

視点 3

エア分配部の整備にどれだけ時間がかかるか

サンドパイパー ESADS+ エア分配部
ESADS+(外部整備式エア分配システム)

図2 エア分配部の点検・整備時間

ESADS+外側からボルト4本約5分
分解が必要な方式ポンプを外して分解55分以上
出典:メーカー公表資料。作業時間は現場の条件によって異なります。

確認エア部のトラブル時に配管を外すまで何分かかるか。そのあいだ工程はどうしているか。

視点 4

停止と再始動を繰り返しても止まらないか

  1. 液位が上がるフロートが検知
  2. 吐出弁が開くポンプが運転
  3. 液位が下がる空運転しても安全
  4. 吐出弁が閉じるエア圧と釣り合い停止

↺ 最初に戻って繰り返し

図3 吐出弁とフロートによる発停の流れ(事例の運転方法)。メーカーはノンストール設計(無給油)により、エア切換弁が止まらないことを保証しています。

確認エアが来ているのに動かないことはないか。1日の発停回数はどれくらいか。

視点 5

保証と部品供給で長く使い続けられるか

  • 保証コネクティングロッド曲がりや破損に対する保証
  • 保証アンチストールエア切換弁が止まらない保証
  • 部品補修キットエア側と接液側をキットで用意

保証の条件はメーカーの規定に従います。純正部品以外を使用すると保証が無効になります。

確認過去3年の部品代と作業時間はどれくらいか。本体の更新費用と比べてどうか。

主な仕様(ヘビーデューティ・ボール メタル)

表は横にスクロールできます ▶

口径・型式 最大流量 通過固形物 1回の吐出量 最高使用圧力
1インチSB1/SB25 159 L/min 約6 mm 0.34 L 0.86 MPa
1・1/2インチHDB1½/HDB40 462 L/min 約6 mm 1.4 L 0.86 MPa
2インチHDB2/HDB50 511 L/min 約9 mm 1.7 L 0.86 MPa
3・4インチHDB3/HDB4 1,136 L/min 約22 mm 7.6 L 0.86 MPa

図4 口径別の最大流量(L/min)

1インチ159
1・1/2インチ462
2インチ511(事例の口径)
3・4インチ1,136

※ メーカーのデータシートを基に作成。流量はエア圧、揚程、液の性状によって変わります。

部位 選べる材質
接液部 アルミニウム鋳鉄ステンレス鋼Alloy C
ダイヤフラム・ボール ゴム系エラストマーTPEPTFE

薬品に使えるかどうかは液名、濃度、温度によって個別に確認します。

サンドパイパーのラインナップ

置き換え候補のご提案

既存ポンプの型式と使用条件から置き換え候補をご提案します

  • 口径・ポート位置・材質の選定
  • 補修部品と在庫の確認
  • デモ機の貸し出しのご相談(機種・在庫状況によります)
置き換えについて問い合わせる

05

液の条件別の機種の選び方

液の条件→おすすめの機種
沈む固形分が多い▶ヘビーデューティ・ボールダウンポート
気泡・浮遊物を含む▶ヘビーデューティ・ボールトップポート
設置場所が狭い▶ヘビーデューティ・ボールサイドポート(一部機種)
大きな固形物・スラッジ▶ヘビーデューティフラップバルブ形
漏れが許されない液▶コンテインメントデューティ漏れの封じ込めと検知

図5 液の条件から選ぶサンドパイパーの機種。当社ではフラップバルブ形とコンテインメントデューティ形も取り扱っています。

ほかの方式も比較したいケース

  • 脈動が問題になる構造上、吐出が脈動します。脈動低減器の併用か別方式と比較
  • 大流量の連続運転圧縮空気のコストが大きくなります。エア消費量を試算し電動ポンプと比較
  • 高温の液ダイヤフラムなどの材質に温度上限があります。材質ごとの使用温度を確認

06

置き換えの進め方とチェックリスト

  1. 現状把握不具合の内容と頻度、部品代を洗い出す設備保全
  2. 液の整理通常時と異常時の性状を確認する生産技術
  3. 機種選定口径、ポート、材質、配管、エア供給を確認生産技術・当社
  4. 比較・導入総コストで比較して試験導入する購買・保全

お問い合わせ前のチェックリスト

液の情報

  • 液名・濃度アルカリ液、スラッジなど
  • 液温通常時と最高温度
  • 比重・粘度異常時の上限も
  • 固形分最大の大きさ、沈むか浮くか

設備の情報

  • 流量・吐出圧配管の長さと高低差
  • 吸込条件押し込みか吸い上げか
  • 供給エア圧ポンプのそばの圧力

今のポンプと運用

  • 型式・口径・材質銘板の写真があれば最適
  • 不具合漏れ、停止、摩耗の箇所と頻度
  • 運転の形連続か間欠か、液面制御の有無

お問い合わせ

チェックリストはわかる範囲だけで大丈夫です

銘板の写真や現場の状況をお送りください。
機種の選定から補修部品までご相談に応じます。

サンドパイパーについて問い合わせる

在庫品もございます。納期もお気軽にお問い合わせください。

07

よくある質問

他社のエア駆動式ダイヤフラムポンプから置き換える場合、配管はそのまま使えますか?

口径が同じでもポート位置や寸法が違う場合があります。今のポンプの型式と設置寸法を確認してから選定します。

黒液やアルカリ液にも使えますか?

接液部とダイヤフラムの材質の組み合わせで決まります。液名、濃度、温度をお知らせください。

空運転させても問題ありませんか?

構造上、空運転でポンプは壊れません。ただし摩耗を抑えるため、液面制御で不要な空運転を避けることをおすすめします。

まとめ

  • 液の性状で選ぶ空気、固形分、粘度、液位を異常時の条件まで確認します。
  • 5つの視点で評価ポート位置、摩耗対策、整備性、停止しにくさ、保証と部品を確認します。
  • 条件によっては他機種大きな固形物や漏れが許されない液には別の機種を選びます。

参考資料:サンドパイパー メーカー技術資料、製品カタログ、テクニカルデータシート。数値はメーカーの公表値で、予告なく変更される場合があります。